本記事では『マツリカの炯-kEi- 天命胤異伝』のフルコンプ感想を、作品紹介 → 個人的レビュー → 各ルート感想 → 総評 → まとめの順にまとめています。
・どんな作品なのか
・面白かった点、いまいちだと感じた点
・主人公(ヒロイン)や声優の情報
・個別ストーリーのネタバレ感想
・個人的な評価を☆1~5で判定
・ネタバレを含む部分は、「続きを読む」ボタンでワンクッション置かせて頂きます。
「どんな作品か気になるけどネタバレは踏みたくない!」「他の人の感想を読んでみたい!」という方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
それでは、本日もよろしくお願い致します。
『マツリカの炯-kEi- 天命胤異伝』作品紹介
オトメイトの完全新作
『マツリカの炯-kEi- 天命胤異伝』は、2024年2月29日にオトメイトから発売されたNintendoSwitch向け乙女ゲーム。
読み方は「まつりかのけい てんめいいんいでん」です。
「重厚な」という言葉がピッタリの世界観のなか、過酷な運命に翻弄される主人公と攻略キャラクターたちの恋愛が描かれます。
ちなみにタイトルにもある「マツリカ(茉莉花)」とは、実在する花の名前でジャスミンの一種です。
ボリュームたっぷり&3つのエンドが楽しめる中華幻想ハイファンタジー×極上艶ロマンス
プレイ時間は1ルートにつき3〜4時間ほど。
1人につき3種類のエンディングが用意されており、全体的にボリュームたっぷりな印象でした。
私はメモをとりながらゆっくりプレイしたため、速い人ならもう少しサクサク進むかもしれません。
・春前終節:ハッピーエンド
・明前終節:ベストとはいかないまでも、幸せな終わり
・明前終節:ほぼバッドエンド
とにかくイラストが最高で、一枚絵(スチル)が表示されるたびに美しー!とテンション上がりました。人物はもちろん、細かく描かれた背景にも目を惹かれます。
ただ、性描写の多さとシリアスすぎるシナリオは、少々好みが分かれそうなポイント。
物語的には子孫を残し、血を後世に受け継ぐことが中心にあるため、性描写がちょっと……いやかなり多め。
また、どうしようもないことでヒロインが責められたり、排斥される描写が多くしんどかったです。
エンディングに関してはハッピーからメリバまで幅広く、「幸せとは?」と考えさせられる内容も多かったです。
レビューはこちら
ストーリー概要
天に翻弄されながらも、ただひたすらに生き抜いた。
異なる民族の使命が交錯し、血胤の宿命を背負う。
これは、語り部のいない古の調べ
舞台となるのは、人と仙と聖獣とが息づく世界――
栄華を極める月下ノ国の辺境には、二つの民族が息づいていた。
人の踏み入れぬ雪山で生き抜く白狼族。
――そして、茉莉花の咲く秘境に暮らすマツリカ族。
「けして連れ出してはならない花の咲く、炎に嫌われた秘境、か」
マツリカ族の少女は、今日も蛍に歌を捧げる。
瞳に“炯眼”を宿した彼女こそ、一族の命を繋ぐ“火”をもたらす者――宝玉鑑定士。
景星節で彼女が成人を迎える時、全ての因果は巡りだす。
傷つきながらも生き続ける人がいた。
誇りと尊厳を守る為に奪われた命があった。
彼らの意志を裏切って繋がれた使命があった。
「私は、お前を忘れない。この身が朽ちて果てようとも」
禍福の風が吹き荒れて、古の調べが重なり合う。
けして手折ってはならぬ秘境の花。彼女を連れ去ったのは、誰か。
血胤を受け継いだ者たちの、異なる使命が動き出す。
これは、正史に名を残さぬ者たちの物語――
引用元:https://www.otomate.jp/mk/
作品情報 | 制作スタッフなど(敬称略) |
---|---|
ディレクター: | 立松文悦 |
原画: | 蓮本リョウ |
シナリオ: | 吉村りりか |
CERO: | 「D」(17才以上対象) |
対応機種: | Nintendo Switch / Nintendo Switch Lite |
ヒロイン紹介
主人公:ナーヤ(名前変更可能)
マツリカ村で暮らす少女。
生まれつき、原石から価値ある宝玉を見分ける“炯眼けいがん”を持っていて、宝玉鑑定士を任せられている。宝玉は、生活に不可欠な《火》を手に入れる貿易に必要な物のため、一族の命運を一手に担っている。素直で優しく、責任感を持って取り組む姿に、村人たちからも愛されている。
引用元:https://www.otomate.jp/mk/
攻略キャラクターとおすすめ攻略順
攻略キャラクターは5名+隠しキャラ1人の計6人。
以下のキャラクターに攻略制限があります。
隠しキャラ:ルヲ、青凛、ゼベネラのうち誰か1人をクリア後に解放
燕來:ルヲ、青凛、ゼベネラの3人をクリア後に解放
フェイ:燕來をクリア後に解放
最初から解放されているキャラクターは、どの順番で攻略しても問題ありませんが、個人的おすすめ攻略順は、ルヲ → ゼベネラ → 青凛 → | 隠しキャラ | → 燕來 → フェイです。
あくまでおすすめ順なので、好みの順番で攻略しても全く問題ありません。
私は2番目に隠しキャラを攻略しましたが、問題なく楽しめました。
攻略キャラクター&キャスト紹介
キャラクター | キャスト |
---|---|
フェイ | CV:岡本 信彦さん |
ルヲ | CV:山下 誠一郎さん |
玖 燕來 | CV:堀江 瞬さん |
胡 青凛 | CV:立花 慎之介さん |
ゼベネラ | CV:羽多野 渉さん |
共通ルート感想(ネタバレON/OFFボタンあり)
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主人公・ナーヤが暮らすマツリカ村は、王都から遠く離れた山奥に佇む不思議な村。
結界に守られ普通の人間はたどり着けないことから、仙人たちが暮らす「仙郷」に例えられることもありました。
そんな村には2つの厳しい掟があり、1つは外の人間と「血を混ぜてはならない」こと、もう1つは「けして外へ出てはならない」こと。
マツリカ族と外部の人間の血が混ざった子供は「凶ノ子(タオ・ウー)」と呼ばれ、災厄の象徴とされています。
実際に凶ノ子が生まれた年には、日照り・大雨・嵐など、大きな凶事が起きてきたそうで、生まれたら村から追い出すのが慣習となっているようです。
ナーヤは左目に全てを見通す「炯眼(けいがん)」を宿しており、原石の中から宝玉を見つけ出せる村で唯一の「宝玉鑑定士」。
村の神様が火を嫌うマツリカ村では火をおこせないため、先祖代々「火貿易」という方法で火を手に入れているのでした。(迷信ではなく、実際に火打石を使っても火がつかないそう)
ナーヤが鑑定した宝玉の原石は、火の対価として渡す貴重な道具。つまり宝玉鑑定士のおかげで村は火の恩恵に預かれているんですね。
とにかく世界観設定が細かく、不思議なしきたりや現象に引き込まれます。
独特な食べ物も美味しそうで、新しい単語が出るたびに辞書を開いてふむふむやっていたので、なかなかお話が進みませんでした(笑
マツリカ村にとって、子は何よりの宝ということで、夫との間に子供ができなければ他の人と一緒になるのだそう。
結婚周りのしきたりもしっかり定められており、異民族感がすごいです。
嫌な人間はおらず住む場所にも困らない。平和なマツリカ村はナーヤにとって幸せそのもので、穏やかな日々が続いていくと信じて疑いませんでした。
ちなみにナーヤの母親は1年間失踪したのち、ナーヤを身籠って帰ってきたのだそう。
村の人たちは神様の子だ!と思っているようですが、それって凶ノ子なのでは……?
1年に1度、村の神様に感謝を捧げるお祭り「景星節」は、成人を迎えた未婚の男性が、意中の相手に茉莉花を贈って気持ちを伝える一世一代の行事。
誰からも花を贈られず不安な気持ちでいるナーヤですが、実は村中がフェイ→ナーヤの気持ちに気付いていて、気を遣って贈れなかっただけだという事実に笑いました。フェイ愛されてるなぁと。
しかしそんなのほほんとした気持ちは一瞬で吹き飛ぶことになります。
花嫁を探しに祭りの場に現れた雪狼族の王・ゼベネラの口から語られたのは、ナーヤの母が雪狼族の群王の妻だという事実。
つまりナーヤは雪狼族とマツリカ族とのハーフだったのです。
ナーヤが混血だと知った村人たちはこれまでの態度を一変。「凶ノ子を追い出せ!」と石を投げ始めます。
あんなに仲良くしていた友人まで……正直めちゃくちゃ辛い展開です。しかし凶ノ子を恐れる気持ちは分かるからと、ただ黙るしかないナーヤの態度がまた悲しい。
ゼベネラはナーヤが雪狼族に加わるか、回答を3日待ってくれるそうですが、針のむしろ状態で村で3日も過ごすの辛すぎませんか?
正直、もう今すぐ連れ出して下さいとしか思えませんでした。
助けに来てくれたフェイと共に牢を出たナーヤが見たものは、何者かの攻撃を受け燃える村でした。
皮肉にも、凶ノ子がもたらすという厄災が現実のものとなってしまったのです。
祭りの夜にナーヤの運命は一変しました。ここからどう動くのか、全く想像できません。
個別ルート感想(ネタバレON/OFFボタンあり)
ルヲ CV:山下 誠一郎さん
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ルヲはマツリカ村を訪れる唯一の商人で、ナーヤとは顔見知りの関係。
ナーヤのことを最初からめちゃくちゃ口説いてくるので、何か目的というか裏があるんじゃないかと疑ってしまいました。
ナーヤの能力を見るために原石が足りないと嘘をついたり、小銭と王都への地図を渡したり、怪しさ満点です。
「多分ヤバいやつだ……」と警戒していたのですが、実は自分が運んだ火籠に、すぐ火が消えるよう仕掛けがされていることに気付き、必要になるだろうと踏んで小銭と地図を渡してくれていたんですね。
事情が分かると、疑ってしまい申し訳ない気持ちになりました。
村が燃えた後、山の麓で途方に暮れていたナーヤに声をかけたのはルヲでした。
村が襲われた事実を知り驚くルヲですが、同時に「自分が火の細工を見逃さなければ防げたかもしれない」と考えます。
自身も過去に行き場を失った経験から、似たような境遇のナーヤを放ってはおけず、自分の家に連れ帰るのでした。
多分ここでルヲ視点が挟まらなかったら私、「また何か裏があるんじゃないか……」って疑っていたと思います。
しかしナーヤの境遇に過去の自分を重ねた的な描写があったからこそ、ルヲへの好感度がグッと上がりました。
だって村人たちから酷い目に遭わされて、ルヲにまで裏切られたら辛すぎますもん。
だからこそ、ここでのルヲ視点は本当に素晴らしくて感動しました。マツリカは神ゲーに違いないと確信しましたね。
なーんて思っていたら、中盤バッチリ裏切り展開が来てOh…となりました。やっぱ信じちゃダメでしたこの人(掌返しが早い
ルヲの目的は大昔に失われた大型の船「鳰船(におせん)」を完成させること。そのために手段を選ばず設計図を求めています。
ある時、設計図を持つ砂漠の村の富豪が「黒髪の花嫁」を探していることを知ったルヲは、設計図の対価にナーヤを売り渡すことを計画します。
一方でナーヤは、マツリカ村襲撃に権力のある貴族「玖家」が関わっていることを知り、その目的を調べようとしていました。
しかしルヲ的には仇討ちでナーヤが不幸になってほしくない。かといって一生自分の元に置いておくこともできない。=金持ちに嫁げば幸せなのでは!?と考えたのです。
いや、ルヲは自分にできる最大限の善意を尽くしたつもりっぽいのですが、ナーヤに何も知らせず売り払おうとするの、普通に騙し討ちですからね?
しかも砂漠の国が求めていた「花嫁」の正体が、実は雨乞いのための生贄であったのが最悪です。
「花嫁」を言葉通りのものだと思っていたルヲは、慌てて救出に走りますが、水に沈められ溺れかけていたナーヤを救ったのは他の男でした。
以降、ナーヤがルヲをバチバチに警戒するのも当然の話。しかし同時にこれまで安穏と暮らしてきて、あまりにも警戒心のない自分を戒める機会になったのが皮肉でした。
気まずくなった2人が旅を通して再び歩み寄る過程も良かったです。
ルヲのルートではヤベェ執着男・季苑(イケメン)が登場します。
季苑はルヲの故郷と「風一族」を滅ぼした海賊の息子にして、ルヲに片目を奪われ投獄された罪人。そして生贄にされたナーヤを助けた男でもありました。
なんとなく想像はつきますが、ルヲは両親を殺した海賊に育てられ、海賊として生きてきたのです。
しかしある時季苑の目を潰して逃走。季苑は最も効果的にルヲへの復讐の機会を果たす機会を狙っていました。
季苑に捕まったルヲは片目を抉り取られ、絶望的な展開からエンドが分岐します。
春前終節:
ルヲの策でことごとく季苑の企みを潰し、風一族の正統な後継者として一族復興を目指すエンド。鮮やかな手際にスカッとしましたね。
鳰船の設計図は季苑に燃やされてしまいましたが、仲間と力を合わせて全く新しい鳰船を1から造り上げられたのもよかった。
でも外でイチャイチャするのはやめてほしい(オイ
雨前終節:
ルヲを苦しめるため、季苑はルヲの目の前でナーヤを抱きます。助けを求めるナーヤですが、ルヲは絶望するばかりで助けようとしませんでした。
さらにルヲを苦しめるため、季苑が経営する娼館へ売られるナーヤ。季苑の掌の上で、耐えきれず1人逃げたルヲへの復讐心を燃やす終わり。
タイトル画面に戻った後、いっそ殺してくれと現実逃避するルヲのボイスが痛々しい。
明前終節:
季苑を殺して海賊の頭となったルヲは、ナーヤとの居場所を守るため、略奪を続けます。
一度奪ってしまえば後は簡単簡単。あっという間に大海賊へと昇りつめるのでした。
ナーヤは籠の鳥状態のため、いつか望んだ星空を見る夢は叶いませんが、これも1つの幸せ……なのかなぁ。
隠しキャラクター
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二角獣(バイコーン)
獣じみた不思議な少年。共通ルートで彼に遭遇した際、逃げずに手を伸ばす選択肢を選んでいるとルートに突入します。
1周目のルヲルートクリア後にルート解放アナウンスが表示されたため、気になって2周目に突撃しました。
オトメイトさんの作品では、隠しキャラ=ラスト的な印象があるため「大丈夫かな?」と若干不安でしたが、特に問題なく、むしろ隠す必要あったのか?と思うくらいの内容でした。
凶ノ子として牢に囚われ処刑を待つナーヤの前に、突如現れた二角獣。
「カルマ」と名乗った彼は、どことなく獣っぽい仕草&鋭い爪と異形のツノを持ち、カタコトで会話します。
ナーヤと同じ炯眼の持ち主で、ナーヤを仲間だと思っている様子。
お祭りの日、物陰からこっそり様子を伺っていた彼は、ナーヤが殺されることを知り、助けに駆けつけたのでした。
ナーヤにとっては初めて出会う、自分以外の炯眼を持つ者。
目を合わせると、どこか懐かしいような、焦るような不思議な気持ちになるのだそう。「そもそも炯眼とは一体なんなんだろう?」と、非常に気になりました。
関わってくるサブキャラクターは謎の女性易師「麗穹(れいきゅう)」。カルマを操り人を襲う目的は?麗穹の語る師匠とは誰のこと?解放とは?などなど、謎が次々にわいてきます。
カルマはナーヤを岩山へと攫い、木の枝や藁で住居を作り生活を始めます。
人と違う見た目や力、うまく話せない言葉のせいで孤独に生きてきたカルマの境遇には同情しますが、「村に帰らなきゃ」と望むナーヤを無理やり留めている関係が、いつまでもうまくいくとは思えません。
かといってナーヤは村に帰ったら殺されるのでしょうし……どうしたら良いのか幸せが見えませんでした。
ナーヤを慕い優しく尽くしてくれる無垢な姿と、野生の獣のように獰猛な姿。どちらも彼ではありますが、非常にアンバランスで危うい印象を受けました。
ナーヤのためになにかしたい、けれどどうしたらいいのか分からないカルマの様子に、見ている私も途方に暮れてしまいました。
大きく話が動くのは中盤。麗穹の過去が明らかになるあたりから怒涛の展開が待ち受けます。
炯眼とは蛍聲の力。
かつて仙虹である師匠に恋をしていた麗穹は、胡家の雲曜という男に唆されて蛍聲の力を奪い、聖獣殺しの大罪を犯してしまいます。
結果、麗穹は永遠の命を得るも、魔女として各地で断罪され続け、悲惨な生を歩む羽目に。
炯眼の力を得て人間の頂点に立った雲曜もまた、呪いで化け物と化し、以降月下ノ国の民は炯眼に呪われ続けることとなりました。
\つまり全ては麗穹と雲曜の行いのせい/
ただ蛍聲の中にも許すと許さない、2つの相反する思いがあり、その判断はカルマとナーヤに託されます。
カルマとナーヤ、麗穹と蛍聲。麗穹とカルマ、そして操られたカルマが犯してきた罪。全編通して「許し」がテーマなのかな、と感じました。
雨前終節:
麗穹に操られたカルマは、ナーヤの命を奪ってしまいます。
ナーヤとの記憶を奪われ、完全に麗穹の操り人形となったカルマですが、大切な人がいたことだけはぼんやり覚えています。
住処に残されたナーヤの骨を大切に抱えて生きていく切ないエンド。
明前終節:
炯眼をなくす方法を探すため旅に出た2人でしたが、人里に入るたびに襲われ人探しどころじゃありません。
2人は炯眼を諦め、2人だけで生きていくことを決めます。
荒地に2人きりでも悲壮感はなし。孤独ながら幸せを感じられるエンドでした。
春前終節:
どうしても火貿易のことが気にかかり、カルマと別れて村へ戻る選択をするナーヤ。
いやいや、最後に牢屋にぶち込まれた時のことを忘れたのか……?10000%炯眼を奪うため殺されるに違いないし、あんなクソ村のことなんて放っておこうよ……と思わずにいられません。
案の定、村人たちに捕まったところをフェイに助けられるも、「族長家の血筋を残すため、俺の子を産んでくれ」と言われ絶望します。
フェイはナーヤが村で生きる唯一の方法を提示したつもりでしたが、結果的にナーヤが「こんな村もういい」と思うきっかけとなったのが皮肉な話。
他2つのエンドを先に見ていたので、春前終節の長さに驚いたのですが、もはや神話か?と思うくらいスケールの大きなお話に2度ビックリでした。
炯眼を取り除いてくれた玖家。その結果、使役された蛍聲。小蝶ちゃんは蛍聲の知り合いのようだし、仙虹なのかなーなどと、とにかく情報量の多いエンドでした……
最終的には獣の姿で半生霊のような存在になってしまった2人ですが、炯眼がなくなっても、姿形が変わっても、たった2人の同族という関係性がなんともいえず尊い……
人間姿のカルマも好青年でカッコよかったです。
それにしても村の中では火をおこせないけれど、結界の外でならできます→これからは村の皆が自分で火をおこしてね☆
という、何とも雑な方法で火貿易をクリアするくだりには、そんな簡単に済むなら宝玉鑑定士なんていらないじゃん\(^o^)/と思ってしまいました。
ゼベネラ CV:羽多野 渉さん
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村が襲われた直後、ナーヤは自分にできることを考え、雪原にいるゼベネラに助けを求めます。
それは「ゼベネラが望む結婚を受け入れる」と覚悟した上での行動でした。
すぐに駆けつけてくれたゼベネラ達を恩人だと讃える村人たち。その割に助けを呼んだナーヤに対しては「逃げ出した卑怯者」呼ばわりなのが解せません。
こうしてナーヤは恩人への献上品として、雪狼族の元へ身を寄せることとなったのでした。
白狼族の側近の、特に女性の方は怖そうだし、実は過去ゼベネラの嫁候補だったりして、ナーヤにきつくあたってきたらどうしよう……なんて妄想を爆発させていましたが、バオさん(女性の方)めちゃくちゃ親切で気のいいお姐さんで速攻好きになりました(オイ
そもそも純粋な白狼族は少なく、大人はゼベネラ・バオ・ヨウの3人だけ。流れ着いた子供たちを群れに迎え入れて育てているのだそうです。
そんな状況なので、白狼族にとってナーヤは本当に大事な花嫁だったのです。優しい人たち、絶対あのクソ村より幸せになれますよ(隙あらばマツリカ村を叩いていくスタイル
全てが急で実感もわかないまま、種の保存のために始まる関係というのもなんだか斬新。すごいなぁ……
どうしても「あの日、ゼベネラが来なければナーヤは村の人たちと平和に暮らせていたのに」
という思いはつきまといますが、
ゼベネラはナーヤの父の遺言に従っただけで、マツリカ村の風習を知らかなかったのだと分かると責められません。
ナーヤから故郷を奪ったことを後悔しているのだと分かるシーンはグッと来ました。
しかしゼベネラ側にはどうしてもナーヤを迎えなくてはならない事情がありました。大勢いた白狼族はキュウキという妖魔に襲われて壊滅し、ゼベネラたちの群れが最後の生き残りだったのです。
白狼族を次世代へと繋ぐためには、狼の言葉を理解できる子供が必要。つまり、
子孫を残さなくてはならないプレッシャーがすごい。
なんか……なかなか子供ができないとかで責められないといいな、と思わずにいられません。
しかし、案の定ナーヤは焦りと栄養不足で日に日に元気を無くし、体調を崩してしまいます。
そんなナーヤが元気になるよう医者の元へ連れて行ったり、マツリカ村の料理について調べたりと、手を尽くしてくれるゼベネラが優しい。
物語は良い雰囲気で進みますが、キュウキから白狼族の存在理由を聞かされ、急展開を迎えるのでした。
白狼族は999年の間、炯眼を守るために作られた一族。期間を終えたらその役割も終わり、子が産まれなくなる。
つまりあらかじめ滅びが決定づけられている一族だったのです。
真実を伝えた日から、キュウキは毎日ナーヤの炯眼を狙って襲撃を仕掛けてくるようになりました。
白狼族の未来は……?というところでエンドが分岐。
雨前終節:
キュウキに連れ去られ、命を奪われたナーヤ。両目を奪われるシーンが怖い。特に効果音が……
群れは山を降りたのち滅び、仙虹の情けにより狼の姿となったゼベネラが1人ナーヤを探し続けるエンド。切ない……
明前終節:
群れを守るために雪山を捨てた白狼族は砂漠に辿り着きます。そして拾い子たちを集めて育て続けた結果、国と呼べる規模まで発展を遂げました。
血のつながりはなくとも、どこで生きていても、家族のような絆で結ばれた白狼族。
幸せの形は人それぞれ。1つの終わり方としてとても良かったなと。
あと砂漠スタイルのゼベネラ&ナーヤ夫妻も格好いい!
春前終節:
ゼベネラの「お前を幸せにしたかった」に泣きそうになりました。どこかでナーヤも言っていましたが、子がいなくても幸せになれるんだよと。
でも多分そういう幸せじゃないんですよね。白狼族は滅びが確定していますが、ナーヤはそうじゃない。でもナーヤの幸せはゼベネラの側にあるんですよね……切なくて尊くて泣いてしまう。
神様的なご都合パワーで色々解決するだろうと甘い考えでいたので「ここで終わり!!?!!」となりましたが、余韻の残る切なく美しいエンドでした。
誰よりも子を望んでいた2人に、自身の子を抱く未来は訪れないんだなぁ……
雪山の仙虹様に何があったかは、さすがに今後語られますよね……?
仙虹、頑張った2人に祝福をくれって思っちゃいますね。
胡 青凛 CV:立花 慎之介さん
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お金が必要だと知らずに屋台のものを食べて「泥棒!」と言われるシチュエーション、お金持ちあるあるですよね。
そんなある意味王道シチュのなか出会う2人。
青凛は朗らかでぽわぽわした印象ですが、意外と切れ者というか。ナチュラルに人の上に立つ者オーラが感じられる不思議な人です。
と思っていたら、現王唯一の息子にして時期国王というすごい立場の人でした。前情報をほとんど調べずにプレイして、貴族のお坊ちゃんぐらいに思っていたのでびっくり。
現王には他に100人ぐらいの子がいますが、なんと全員女児とのこと。なんとも不思議というか、もはや呪いの類を感じますね。
そして共通ルートで青凛を助けたか否かで話の流れがかなり変わることに驚きました。
ルヲ・ゼベネラの方ではサクッと火を持ち帰れますが、青凛・燕來の方では祭りに間に合わず、数日後に遅れて到着したら訳もわからないまま「凶ノ子」呼ばわりされる形でした。初回プレイはルヲ・ゼベネラルートの方が話の流れがわかりやすいかも……?
それにしても月下ノ国スタイルのナーヤは雰囲気ががらりと変わって可愛かった。もはや完全にどこかの姫君です。
ルートや土地によって服装が変わるの、凝っていてとても良いですね。
青凛の暮らす王宮は立派で、ナーヤは生まれの違いを痛感します。本当に自分がここにいていいの?と悩む時もありますが、時期王として多くを望まない青凛が友にと望んだこともあり、周りは反対しません。(できない
「青凛を救った仙虹」という設定で、穏やかな暮らしを続けるのでした。
ナーヤの歌には不思議な力があるようで、歌を聴いた鳥が懐き、蛍が集まる光景は宮廷内で話題となります。ついには王の耳に入り、陰の気を祓う歌い手として「宮廷歌師」の役割を授けられるのでした。
翌日から宮廷歌師の仕事が始まるのですが、それはなんと毎晩王と王妃の子作りの場で歌うこと。陰の気を祓う大事な役目とは言いますが……嫌すぎますね。
さらに男児を産ませようと躍起になっている王は、ついにナーヤをも王妃にしようとします。
間一髪で助けに入った青凛ですが、王の決定は絶対。逆らえばナーヤの処罰、処刑は避けられません。
ただ唯一の例外として、王族の親族を妻にすることはできない決まりを利用し、青凛はナーヤを自分の妻として守ることを決めるのでした。
青凛は笑顔の裏に途方もない悲しみを隠した人でした。気丈に振る舞っていてもまだ17歳。王からの冷遇に耐えながら、何も分かっていないようなフリをして、ただ生きるなんて辛すぎる。
しかし後半はその辺りの心配も吹き飛ぶぐらいのトンデモ展開にビックリ。実は青凛の正体は四聖獣の1柱・応龍だったのです。
王の一族は建国の際、応龍を騙して力を奪ったことを理由に祟られていました。だからこそ、応龍の生まれ変わりである青凛を恐れていたんですね……
青凛は龍の姿でナーヤの危機を救って以降、応龍だった頃の記憶を取り戻しますが、おっとりした性格は変わらず。
青凛とナーヤは天上にある仙境で平和なひとときを過ごしますが、地上の状況は混迷を極めており、争いを止めるため行動を起こすことに。
もう仙境でずっと平和に暮らしたらいいんじゃないかな……?と思わずにいられませんでした。
雨前終節:
人間の世界では玖家と胡家が衝突。
青凛はあえて強大な悪として人間達の前に現れ、彼らを一致団結させることに成功します。
青凛の犠牲で人間たちの争いが収まり、平和を取り戻しますが、こんな悲しい終わりってないですよね。
燕來は応龍のことを青凛の仇だと思ってトドメを刺しますが、倒した後で正体に気付き、呆然とするのが切なすぎました。
明前終節:
人間たちの愚かさに愛想を尽かした四聖獣たちは人間の世界を見捨て、仙境へと帰りました。最後まで人間のために尽くした青凛もまた……
ナーヤは仙境で青凛と生きていくことを決め、不老不死の実を口にします。
幸せですが、人間界は間違いなく滅びるでしょうし、なんとなく後ろ髪引かれるエンドでした。
春前終節:
第一皇子&王妃として生きていくエンド。青凛の国は間違いなく良い国になる、とは思うのですが、龍と人との恋ということで寿命問題がちょっと心配……
あとどうあがいても燕來と共に歩む道はないんだな……と思うと、寂しい限りでした。
1点気になった点を挙げると、ドラゴンの鳴き声?は効果音で良かったんじゃないかと。
真面目なシーンでも「声優さん頑張ってるなー」なんて思えてしまって、ちょっと台無し感ありました(すみません
玖 燕來 CV:堀江 瞬さん
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青凛の教育係。若く見えますが、なんと27歳。
燕來はなんらかの理由で炯眼を必要としており、(面倒そうではありますが)ナーヤに仕事を与え、側に置こうとします。
しかしナーヤは料理・勉学・薬学、どの仕事を与えられても何かしら失敗し、仕事場を追い出されてしまいます。
最終的には燕來の身の回りを世話する下男(げなん)として、男の姿で王宮に身を置くことになるのでした。
燕來が当主を務める玖家で匿ってくれればいいのに……とは思いますが、炯眼持ちの存在を兄にバレてはならない事情があるようです。
燕來の兄と言えば、これまで他ルートでチラッとしか登場していないため、チャラチャラしていて美しい位の情報しかありませんね(笑
ナーヤが下男として働き始めて以降、燕來の暮らしはだいぶ楽になりました。立場上、人を信頼できない彼は、これまで下男をつけずに生活していたんですね。
ナーヤへの評価と同時にわいてきた憐れみの感情。青凛の助けもあって軟化していく態度、少しずつ心を開いてくれているのだと分かる過程が良かったです。
途中燕來の兄・燕粋の下男にされたり、一悶着ありますが、兄は基本的に小物なのでまあ……見た目は高貴で美しい人なんですけどね。割と救いようのないクズでした。
玖家一族の悲願は聖獣の1柱であり、マツリカ村の守り神でもある「蛍聲」を目覚めさせること。
そのために蛍聲の鱗である宝玉と、力の源たる炯眼を必要としていました。
実は四聖獣はもともと五聖獣であり、月下ノ国は玖家が治める国だったのです。
女王が治めていた国を奪った胡家の祖先は、自分たちの都合の良いよう歴史を改変し、のうのうと王座にのさばっていたのですね。つくづく胡家ってやつは……
ただ時が流れるにつれ玖家の志は歪み、蛍聲を解放する派と使役する派とに分かれることとなりました。
蛍聲の解放か、その力を利用した王位の簒奪か。
燕來の望みとは裏腹に、玖家の野望に巻き込まれていくことになります。
雨前終節:
あんなに心を通わせてきたのに、ナーヤから炯眼を抉り取る燕來に絶望して、「なんで??」と頭が真っ白になりました。
そんな目に遭わされたのに、燕來に仕え続けているナーヤにもびっくりだYO!
ちょっと頭が理解を拒んだエンドでした。
明前終節:
叔父たちの企みを知った燕來は玖家を捨て、市井にくだる決意をします。
山奥の村でひっそり私塾を開き、仲良し夫婦として生きていくエンド。素朴な幸せがとても良く、好きな終わり方でした。
春前終節:
蛍聲を復活させ、五聖獣に認められた燕來は、新たな国「雪月花国」の王として即位。ナーヤは王妃として彼を支えていくエンドでした。
何もかも綺麗に収まり、これ以上のハッピーエンドはないのでは?と思うほどでした。
燕來、最初のうちはめちゃくちゃ冷たくて、正直嫌な印象しかなかったのですが(すみません)、デレるとすごかった。
叱られることも多いけど、良いところはしっかり褒めてくれるのがいいですよね。
完全無欠に見えた彼が、ナーヤとの出会いを機に、弱さを見せるようになるのがたまりません。
すごくどうでもいいこですが……
物語後半、燕來も炯眼持ちとなり、炯眼持ち同士惹かれ合う設定から、力を使うたびにえっちな展開になだれ込むのにちょっと笑ってしまいました。(すみません
余談ですが、燕來ルートではなかなか春前終節に行けず、実は5、6回やり直しました(笑
燕來・青凛のルートが分岐する地点のセーブデータを残しておいてプレイしたのですが、青凛クリア後に青凛・燕來共通部分に選択肢が追加されており、好感度が足りなかったのだと分かり納得。
もし同じような方がみえましたら……最初からプレイし直すと幸せになります。
フェイ CV:岡本 信彦さん
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ナーヤの幼馴染。
幼い頃母を亡くしたナーヤはフェイの父母に育てられたので家族同然の存在。
明らかにナーヤのことが好きなのに、諦めている様子なのがずっと気掛かりでした。
族長一族のみが背負う役目、重い宿命がありそうな雰囲気。
しかし全員を攻略し終えてようやくフェイルートに到達する頃には、正直「もうあの村に関わりたくねぇ」気持ちでいっぱいでした。二言目には「殺せ!」が飛び出すクソ村ですもん……
マツリカ村の族長一族の男性は1年に1度、お祭りの日に村を覆う結界を貼り直す使命を帯びていました。
その代償は儀式を行なった者の寿命。
フェイは自分が長く生きられないことが分かっていたため、一刻も早く子供が必要でしたが、生まれた息子もまた寿命を捧げることになる運命から、ナーヤに結婚を申し込めずにいました。
1度フェイはナーヤを諦めて村の外へ逃げるよう説得しますが、村の少年の機転により、どうにか婚姻を結ぶことができました。
しかし村人たちはそう簡単に変わらず、「子供ができたら2人を追い出して自分たちが正しく育てればいい」などと言い出す始末。
陰湿な嫌がらせに心をすり減らす2人を見て、何度目か分かりませんが、「もうこの村滅んでもいいから遠くに逃げよう?」と思ったのでした。
だからフェイが「こんな村、どうなってもいい」と呟いた時、驚きと同時に深く同意。
フェイの親族やナーヤに想いを寄せる少年など、優しい人たちもいるんですけどね……
村からの逃走中、捨て身でナーヤを逃したフェイが命を落としたことで、物語は大きく動き始めます。
もうラストだけあり怒涛の情報量でした……
残っていた謎がものすごい勢いで明らかになる爽快感がスゴイ。
そうだったのか!と感動やら悲しいやらで、頭がパーンとなりかけますが、少しでもマツリカの物語に触れたなら、ぜひ読んで頂きたいお話でした。
ざっくりまとめると、マツリカ村はかつて雪月花国を治めた女王・孔雀と側近たちが国を追われた後、蛍聲に導かれて辿り着いた土地。
胡家に力を奪われた蛍聲は、2つの炯眼を孔雀に残して眠りにつき、さらに孔雀の死後は2人の子へと引き継がれました。
炯眼は別々に守った方がいいだろうということで、子供たちのうち1人はマツリカ村に残り、もう1人は仙虹・白君とともに雪山へ移住。
マツリカ村に残った人々は蛍聲の殻を守り、鱗を集める使命を。孔雀の弟・燕飛は玖家を名乗り、爪の動向を見守りながら、いつか王位を取り戻す使命をそれぞれ受け持つのでした。
火貿易はマツリカ村と玖家が3ヶ月に1度、情報交換をするためにありました。集められた鱗は玖家が守っていたんですね。
マツリカ族に火を届ける風一族、爪に祟られた月下ノ国の民。
全部の話が繋がっているんだなぁ……
孔雀と相思相愛の関係にあった仙虹・フエンは、マツリカ族を守りつつ、孔雀の生まれ変わる時を待つため、自身を犠牲に結界を展開。
自身の霊体から生まれた子供が族長となり、結界を繋ぐ。霊体は死後、フエンの元へ戻っていく……というのが族長一族にまつわる真相でした。
つまりフェイは元々フエンの一部だったということでしょうか。フェイが亡くなり、フエンとして戻ってくるので、後半は実質フエンルートです。
フェイとして生きた記憶は確かにあって、口調も同じ……だけどどこか違う、ちぐはぐな様子に終始不思議な気持ちになりました。
あと燕來とナーヤは元々同じ血筋だったと分かり、燕來の春前終節がますます運命的に感じられるなー、なんて。玖家の遠縁の娘という設定で王宮に潜り込んでいた時期もありましたが、実際遠縁だったとは。
今の玖家はマツリカ村の人たちのこと、どう思ってたのかな。なんとなく志を同じくする仲間って感じには見えなかったんですよね……
元は同じ一族でも、年月の経過とともに色々薄まり、変化していった結果が本作の物語なのかなぁと思いました。
雨前終節:
マツリカ村からの逃亡に失敗し、2人一緒に捕まってしまうエンド。
逃走中に術を使ったフェイは寿命が尽きかけており、フエンの魂に連れ去られそうになっていました。
ナーヤはフエンにフェイを助けて欲しいと願い、フエンは「十月十日の後にナーヤが自分のものになるなら見逃す」と応えます。
約束通り赤子の顔を見届けてからフェイは息を引きとるのでした。フエンのものになるってどういうことなんだろう、と思いつつ、切なさと救いが混ざった終わりに涙……
明前終節:
フェイとナーヤが消えさり、フエンと孔雀として生きるエンド。
フエン、孔雀でもナーヤでもどちらでも構わないと言っていましたが、本心では孔雀を求めてたんだなぁ……当然か。自分の欲を優先させる愛の重い仙虹……良いですね。
過去結ばれなかった2人と想うとハッピーエンドなのですが、私的に物語の主人公はナーヤでいて欲しいので正直このエンドは好きじゃなかったな。
孔雀になった瞬間ナーヤにボイスが付くのもちょっと違和感。いっそ孔雀のボイスは無い方が良かった。
春前終節:
復活した蛍聲は孔雀を求めてナーヤの元へ現れる。蛍聲はナーヤを消し去り、孔雀として連れ去ろうとしていました。
いかにフエンといえど、聖獣である蛍聲には敵わない。
フエンはナーヤを守るため、孔雀とナーヤを切り離すことを決意します。
それはナーヤの中から「孔雀」は失われ、孔雀とフエンとの記憶や、ナーヤがフエンと過ごした全ての記憶が消えることでもありました。
目覚めたナーヤは彼を「フェイ」と呼びます。フエンはフェイとして生きていく、ちょっぴり切なさの残る終わり。
999年の悲願を捨ててもナーヤを選んだフエンを思うと、苦いような気持ちになります。
孔雀とナーヤ、フエンとフェイ。
4人の記憶が混ざった状態で思いが交錯するルートなので、感情の動きがとても忙しかったです。
ナーヤはフェイとよく似た、少し違うフエンの存在に混乱しますが、交流を重ねるうちフエンのことも好きになります。
フエンもまた、孔雀ではないナーヤを好きになりました。
ここまで描くなら孔雀→フェイがあっても良かった気もしますが、これ以上複雑になったら死ぬ(私の頭が
どの結末もすっきりハッピーエンドとは言えないので苦さが残りますが、色々な形の幸せが見られたのかなと。
欲を言えば他部族(特に白狼族と仙虹あたりの話)をもっと掘り下げて欲しかったなと思いますが、FD……期待していいのかな。
しかしFDが出たら本編以上にエロ乱舞になりそうで、正直性描写はもうお腹いっぱい(失礼
待ちに待ったフェイルートなのに、フェイの出番が少なめなのも寂しいところで、なんとなく主人公がタッチ交代するティアブレの某ルートを思い出しました。(ちょっと違いますが
『マツリカの炯-kEi- 天命胤異伝』の好きなところ
全体的にクオリティ高め
ストーリー・BGM・イラストどこをとっても質が高く、丁寧に作られた作品なのだなと感じました。
メニュー画面だとか、ちょっとした演出だとか、凝っていて素敵だなーと思います。
攻略キャラ視点時のカットインがない
オトメイト作品は視点が他キャラに切り替わる際、一枚絵による演出を挟むことが多いのですが、本作は物語中、自然な形で相手視点が盛り込まれているので切り替え演出がありません。
視点切り替え演出は、正直テンポを悪くしているなと感じていたため、個人的にかなり嬉しかったです。
『マツリカの炯-kEi- 天命胤異伝』に物申したいところ
モブ・サブキャラに嫌な奴が多い
優しいサブキャラもいるにはいますが、全体的に掘り下げ不足気味。敵方は全体的にクセが強く、ただの嫌なヤツと化しています。
不快を通り越して憎しみを覚えるレベルのキャラもおり、遊んでいて若干ストレスがたまるかもしれません。
店舗特典のショートストーリーで印象の変わるエンドある
店舗特典のショートストーリーを読んだか否かで印象が大きく変わるエンドがあったため、できればゲーム内に盛り込んで欲しかったなと思います。
私はステラワースさんで予約したのでステラ小冊子のみ読みましたが、アニメイト小冊子の方も気になって仕方ありません。
ある程度日にちが経ってからダウンロード販売してくれればいいのに……といつも思います。
総評
ストーリー : (4 / 5)
グラフィック : (5 / 5)
音楽 : (4 / 5)
システム : (4 / 5)
ボリューム : (4 / 5)
総合評価 : A
全編通して胸糞展開が多いため、地雷な人は地雷かもしれません。
特にヒロインに困難を切り開く力がなく、流されてその道を選ぶしかない or 男性に頼り切りになってしまう展開は好みが分かれそう。なんというか、運命に翻弄されっぱなしで川に流される葉っぱのようでした。
子をなして血筋を後世に残すことがテーマの1つではありますが、中心にはないのでエロ全振りではない。と前半は思ってましたが、後に進むほどに描写が増えていきました。
ただ、ラブなシーン自体の描写はあっさり目でむしろ控えめ(すぐ暗転する)です。
どのルートを選んでもイケメンに拾われるのすごくない?
The乙女ゲー主人公の運命力強すぎるね
まとめ
・シナリオライターさんのファン&中華風な世界観に惹かれる人
・糖度高めな描写が好きな人
・イラストに惹かれる人
個人的にはとても面白かったのですが、テーマが重く途中からちょっと胃もたれしたので、「おすすめか?」と聞かれると悩ましいです。
他作品を挟みながらのんびりプレイするスタイルがいいかも?なんて思います。
めちゃくちゃ好みが分かれそう……というのが正直な感想ですが、むしろ万人におすすめな乙女ゲームのほうが珍しいので、難しいところですね。『オランピアソワレ』『ニル・アドミラリの天秤』あたりが好きな方に、ぜひプレイして頂きたい作品です。
長くなりましたが、お付き合い下さりありがとうございました!
Amazonレビューをチェック
『マツリカの炯-kEi- 天命胤異伝』が好きな方におすすめの作品
月影の鎖
かつて観光地として栄えた閉鎖的な孤島を舞台に、激動の時代を生きる人々の戦いを描いた乙女ゲーム。
はっきり言って鬱ゲーですが、独特の雰囲気になぜか惹かれてやまない作品です。
『月影の鎖』は2作品発売されており、錯乱パラノイアが本編、狂爛モラトリアムがFD(後日談・新規攻略キャラあり)です。
終遠のヴィルシュ
誰もが23歳までに命を落とす呪われた国を舞台に、死神と呼ばれ忌み嫌われる少女が、国に蔓延る呪いの謎を追うシリアスなストーリーが魅力の乙女ゲーム。
これ以上しんどい乙女ゲームはないって位、主人公が酷い目に遭いますが、絶望の中で幸せをつかみとる的な作品が好きな方は是非。
こちらも本編とFDがあり。ErroR:salvationが本編で、EpiC:lycorisがFDです。
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